プロジェクト

Grow up!! Artist Project 2014

Grow up!! Artist Project 2014

大崎 晴地[美術家]
2014.3→2015.3

プロジェクト紹介

本年度より2名のアーティストをアサヒ・アートスクエアに迎えて行うアーティスト支援事業「Grow up!! Artist Project[グローアップ・アーティスト・プロジェクト]」。
展覧会や舞台公演といった作品発表ではなく、すでに発表実績のあるアーティストが自らの表現ともう一度向き合い、多角的な視点から「じっくりと考える」プロセスをサポートします。2014年のサポートアーティストの1人は美術家の大崎 晴地。
「空間と行為の可塑性」をコンセプトに、作業療法的な日常の行為、身体について考え、思考を深める。「リハビリテーション」を、社会復帰だけではなくタスクをこなす行為のプロセス、他人との別の繋がり方(ネットワーク)、再生というように、広い想像力の問いに繋げて検討する1年とする。

・主催:アサヒ・アートスクエア
・協賛:アサヒビール株式会社

スケジュール

Grow up!! Artist Project2014報告会

空間と行為の可塑性をコンセプトに、1年間の試行錯誤を経て始まった《障害の家 Barrier House》プロジェクト。社会のバリアフリー化に対してバリアそのものの方に接近する住まいを考えることで、「バリア」と「フリー」を問い直し、多様な経験に遭遇する生活のフォームを提案。障害や健常という見方ではなく、むしろそれぞれの自由度が更新されるような場面に直面し、深く他人とのあいだで別の繋がりをつくる。内部の「部屋」は、同じ空間に居ながら異なる世界で結ばれる部屋や、別々の空間に居ながら同じ世界の上に重なる部屋など、異なる位相の出来事が縺れながら絡まりあう。発達障害や自閉症の見えない障害をケースに、家の概念パーツ(壁、天井、床、階段、・・・)や物(光、空気、重さ・・・)とのかかわりを設計の仕組みから見直し、様々な仕掛けをプランニングする。《障害の家》は、架空の平均(Mr.Average)のニーズに応じるものではなく、個別の経験の履歴から生まれるプロセスであり、それぞれの新しい感覚体験に働きかける生きた乗り物だ。

プロジェクト始動にあたる今回は、《障害の家》の実現に向けた実験的なプラン展示と合わせ、「建築説明会」または「訓練室」とも取れるような場を、ゲストとのトークを交えて発表します。


【イベント】
対話#4「建築化される生命というシステム、あるいは生命という現象」
日時:2月14日 17:00~19:00
ゲスト:池上高志(複雑系研究者、東京大学大学院教授 )
1961年生まれ。東京大学大学院広域科学専攻教授。複雑系と人工生命を研究テーマとし、ダイナミクスからみた生命理論の構築を目指す。大学で教鞭を執る傍ら、アートとサイエンスの領域を繋ぐ活動も精力的に行う。著作に『動きが生命をつくるー生命と意識への構成論的アプローチ』(青土社 2007)。

対話#5「障害と建築―バリアフリーとは別の仕方で」
日時:2月15日 17:00~19:00
ゲスト:河本英夫(哲学・システム論、東洋大学文学部教授 )
1953年生まれ。東洋大学文学部教授。専門はシステム論、科学論。主な著作に『オートポイエーシス―第三世代システム』(青土社 1995)、『メタモルフォーゼ』(青土社 2002)、『損傷したシステムはいかに創発・再生するか』(新曜社 2014)、『〈わたし〉の哲学―オートポイエーシス入門』(角川選書 2014)等多数。

対話#6「バリアフリーの未来―ユートピアをデザインする」
日時:2月16日 17:00~19:00
ゲスト:八谷和彦(メディア・アーティスト、東京藝術大学 先端芸術表現科 准教授)
1966年生まれ。九州芸術工科大学卒業。コンサルティング株式会社(株)PetWORKsを設立。代表作に《視聴覚交換マシン》、《見ることは信じること》、《オープンスカイ》等。近年の個展に「八谷和彦個展|OpenSky 3.0」(3331Arts Chiyoda メインギャラリー/2013年)等多数。


ギャラリーツアー
日時:2月18日 17:30~18:00

discussion「《障害の家》を設計するとは?」
日時:2月19日 18:00~20:00
ゲスト:佐野吉彦(建築家、株式会社安井建築設計事務所代表)×笠島俊一(建築家、bask design一級建築士事務所)
佐野吉彦
1954年生まれ。建築家。株式会社安井建築設計事務所取締役社長。代表作品に、メトロポリタンプラザ(東京都豊島区 1993)、有明パークビル(東京都江東区 1999)、東京汐留ビル(東京都港区、2005)、カトリックなみはや教会(大阪市、2011)。
笠島俊一 
1980年生まれ。建築家。2010年東京芸術大学大学院先端芸術表現専攻修了、2012年bask design一級建築士事務所設立。代表作に「足立区扇こころ保育園(2015)」等。

プロフィール

大崎晴地 のコピー.jpg

 


大崎晴地 Haruchi OSAKI
1981年東京生まれ。2014年東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。博士(美術)。人間の身体、心のリハビリテーションをテーマに、臨床現場の治療家との恊働や、学術集会での展示・研究発表、児童福祉施設での取り組みなど、多面的なアプローチを展開している。主な個展に「天命はなお反転するー人間再生のための環境 荒川修作+マドリン・ギンズとともに」(東洋大学、2013年)、「トポロジカル・ガーデン」(日本精神病理・精神療法学会大会、2010年)、「リハビリテーションとアートー触覚地図」(認知運動療法学術集会、2008年)等。変容や可塑性のコンセプトのもと、個体化の現実や環境を問い直すことを試み、近年の作品に「AIR TUNNEL」、口頭発表に「フランシス・ベーコンの離人症的リアリズム」(第60回 日本病跡学会)がある。

大崎晴地HP http://haruchiosaki.com/

プレスリリース

ダウンロード:【0211】GUAリリース.pdf

募集要項

グローアップ・アーティスト・プロジェクト 2014/Grow up!! Artist Project 2014の選考会が終了しました。
厳正なる審査の結果、以下の企画を採択させていただきました。プロジェクトの進捗は、ホームページに随時掲載していきます。 今回もたくさんのご応募をいただきました。ありがとうございました。


■Grow up!! Artist Project 2014/グローアップ・アーティスト・プロジェクト 2014

採択者:大崎晴地 http://haruchiosaki.com
応募内容:「空間と行為の可塑性」をコンセプトに、作業療法的な日常の行為、身体について考え、思考を深める。「リハビリテーション」を、社会復帰だけではなくタスクをこなす行為のプロセス、他人との別の繋がり方(ネットワーク)、再生というように、広い想像力の問いに繋げて検討する。*応募書類より抜粋

以下の点を特に評価しました。
---
・これまでリハビリテーションの臨床領域に関わり蓄積した経験や知識は興味深く、またリハビリテーションという行為を概念のレベルで見つめ直すことで、新たな感覚や作品体験を模索しようとする今回の試みには、アーティストの問題意識が明確に示されており、その成果が期待できる
・臨床現場の専門家との協働などこれまでの活動の蓄積には、この機会に異ジャンルのアーティストとのコラボレーションにチャレンジする必然性を感じさせるものがあり、アサヒ・アートスクエアのネットワークも有効に活用しながら試行錯誤をすることで、新たな発想の手がかりをつかむ可能性を感じさせる


採択者:毛利悠子 http://mohrizm.net
応募内容:東京の駅構内に散在する水漏れ事故に駅員が対処したさまざまな現場を発見・採集するフィールドワークシリーズ《モレモレ東京》を軸に、新たな制作手法の模索と自分のこれまでの活動にいまだ潜んでいる可能生とを、トークやフィールドワーク、作品制作などを通して、丁寧に多角的に捉え直す機会としたい。*応募書類より抜粋

以下の点を特に評価しました。
---
・これまでの活動をふまえた自身の課題の設定、またそれを探求するためのプロジェクトの運営など、自身の問題意識を具体的なアクションに結びつけている。アーティスト自身が次なる表現に向けて、明確な指針を提示している点からは、このタイミングでの試行錯誤に対する切実さ、サポートの必要性を強く感じさせ、その成果が期待出来る
・今回の試行錯誤にはアーティストがこれまで試みなかった領域へのチャレンジが含まれており、今回のサポートが一つの作品制作で終わるだけでなく、これまでの蓄積を様々に展開するきっかけになる可能性を感じさせる
・東京の都市インフラに対する批評的な視点など、一アーティストの試行錯誤を越えた、社会的な課題に対するアプローチは、これまでのグローアップ・アーティスト・プロジェクトにはないものであり、その点でも新たな成果が期待される


選評

・これまでリハビリテーションの臨床領域に関わり蓄積した経験や知識は興味深く、またリハビリテーションという行為を概念のレベルで見つめ直すことで、新たな感覚や作品体験を模索しようとする今回の試みには、アーティストの問題意識が明確に示されており、その成果が期待できる


・臨床現場の専門家との協働などこれまでの活動の蓄積には、この機会に異ジャンルのアーティストとのコラボレーションにチャレンジする必然性を感じさせるものがあり、アサヒ・アートスクエアのネットワークも有効に活用しながら試行錯誤をすることで、新たな発想の手がかりをつかむ可能性を感じさせる

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