美術家、映像ディレクター、またアーティストユニットのナデガタ・インスタント・パーティーとして、全国各地のアートプロジェクトや美術館にて作品を発表してきた山城大督が、アサヒ・アートスクエアを拠点にスタートする新プロジェクト「東京映像芸術実験室」。
そのキックオフイベントとして、山城さんがこれまで制作してきた映像作品を一挙に上映する「映像実験室 mini|scene.01 スクリーニング『映像にぶつかろう』」を開催した。
山城さんが作品を一つ一つ紹介しながら作品を上映。終了後は、集まったみなさんに率直な感想を聞かせてもらいディスカッション。今後の実験室の方向性を考える上で、貴重な意見をさまざまにいただいた場となった。ご来場いただいたみなさまありがとうございました。
プロジェクトの詳細、今後の予定などはこちらをご覧下さい。[坂田]
http://www.asahiartsquare.org/ja/projects/post/861/
上映作品リスト
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《Parallel Schooll》Nadegata Instant Party 2008 50min
《24 OUR TELEVISION》Nadegata Instant Party 2010 24h
《Yellow Cake Street》Nadegata Instant Party 2011 16min
《Win WIn Mountain》Nadegata Instant Party 2013 6min
《Time flows to everyone at the same time.》山城大督 2009 10min
《People will always need people.》山城大督 2009 6min
《Time flow in the stereo river.》山城大督 2010 10min
《TOKYO TELEPATHY》山城大督 2011 3min
《Hello Everything》 山城大督 2012 4min
配布物からの引用
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ようこそ、上映会へ|山城大督
「一年間のプロジェクトを始めるにあたって、山城くんがこれまで作ってきた映像をみんなで見ようよ」坂田さんのそんな一言から上映会は発案された。僕は正直「ギョ」っとした。映像を扱って作品を作っているが、上映を最終形態として設計された品物はほぼ存在しないからだ。ほとんどの作品がインスタレーションと並列展示されることで成立したり、上映される現場の背景や状況・物語を映像以外の要素で体験し共有した上で鑑賞することが多い。映像は人の時間を奪う。今回の様に「スクリーン」に上映し全員が同じ方向を向いて一緒に鑑賞するという上映は実は慣れない行為だったりする。とはいいつつも、良い機会だと感じた。「出来事」から切り離された上映会でそれらの映像がどういう印象を与え、どこまで共有できるのか知ってみたいと思ったのだ。今日の上映会ではコメンタリー形式として適宜、僕自身が作品の解説や補足説明を行いながら進行する。それらの映像は時に「ドキュメンタリー」だったり「劇映画」だったり「ミュージックビデオ」や「証拠」だったり、複数の文法を用いて構成されている。まだまだ稚拙な初期作品から少し複雑さを増してきた近年の作品まで、まだ完成しきれていない『時間や出来事を保存する』ための実験プロセスだ。それらの全てが僕の映像であることを改めてみつめ、この上映会がこれから始まる「新しい映像」表現への第一歩としたいと考えている。